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中小企業のためになる政治とは?

 

今朝の日経朝刊1面に政治部長の署名入り論説が掲載されています。

 

例によって、「党員・党友の意向と異なる議員票で決めていいのか」という話です。

 

「議員よりも党員のほうが国民の意見に近い」という前提のようです。

 

こうした見方は、ここ数週間の総裁選を通じて、新聞やテレビなど絶滅危惧種のオールドメディアでは主流ですが、2つの点で間違っています。

 

1つは、議院内閣制の本質を理解していないことです。

議場で野党候補と内閣総理大臣の座を争う投票権があるのは、国会議員だけです。

 

いくら「民意に近い」候補がいいんだといっても、その投票権者たる議員が納得しない候補に党が強制して投票させることが望ましいのでしょうか?

 

いまの野党ならまったくその可能性はないので誰も心配しませんが、もっとまともな野党が出てきて、もっとマシな総理大臣候補を擁立したら、与党議員のうち自分の意に反する候補へ票を投じよと党から指示された議員個人は、対立候補のほうが自身の主義主張に近いと思えば、本番ではそっちに投票するかもしれません。

 

いまの自由民主党が成立した1955年以前の、旧・自由党と旧・民主党の合併前の状況のように、甲乙つけがたい2大政党制であれば、どうなるか予断を許しません。

 

日本国憲法が議院内閣制を規定している以上、民意民意と季節遅れの蝉の鳴き声のように大統領制に対する憧憬の念を叫ぶマスコミや野党こそ、憲法改正を発議してはどうでしょうか?

 

党員票のほうが民意の反映に近いという主張の間違いの2点目は、議員と民意との関係に対する能天気なほどの無理解です。

 

党員は党費を納入するだけで得られる立場ですから、それに投票権が付随しているのは実に「緩い投票権」といえます。

これに対し、国会議員は国政選挙を勝ち抜いて議席を得なければならない点で、議員票は「非常に得にくい投票権」といえます。

 

当然ですが、選挙の洗礼において民意を嫌というほど反映させられるわけです。

もし議員の立場が民意を反映していないとでもいうのであれば、それは現代の代議制に対する挑戦として、それはそれで大きな論議を惹起せねばなりません。

 

つまり、議員こそが民意の写し鏡であるのです、残念ながら。

 

その議員が投じる票を、民意から乖離しているなどと1面上段に署名入りで公然と主張できるとは、よほどの厚顔無恥でないと務まらない難しい職務なのかと同情を禁じ得ません。

 

菅政権は中小企業にとって悪い政策を連発していたので、もし菅さんが交代しないのであれば、野党に政権交代しない限り、日本の中小企業の将来に禍根を残すと思っていたところでした。

 

ご本人よりも、取り巻きの質が悪すぎました。

お気に入りの女性医官を審議官に飛び級抜擢させたうえ、同伴海外出張に税金でコネクティングルームを支出させた老害リタイア官僚を依然としてお側に置き続けるなど、人を見る目がないことは明らかです。

 

中小企業周りでいえば、魔の小泉政権を支えた新自由主義の政商や、数字を歪曲した珍説を振りかざすお雇い外国人を重用するなど、とにかく筋が悪すぎました。

 

もともと懐刀タイプだった人が、間違って首魁となってしまったところに誤謬の元がありました。

 

本欄は、なんでもかんでも中小企業を守れ、という古い自民党的なアピールを否定しています。

余計な補助金、助成金、過剰貸し付けなどは、かえって中小企業の健全な成長を阻害するという立場です。

 

新政権の中小企業への考え方は、まともになってくれるのでしょうか?

それには、まづ以て、まともなお側用人の起用を期待します。

 

*2021/10/5追記

上記の取り巻きのうち、不倫のお爺さんはお役御免になったようです。

あとは、中小企業を減らせば生産性が向上するとかいう証明されざるトンデモ説の教祖様の去就です。

余計なことですが、この珍説が謬説であることは、こちらで既に論破済です。