Q11 従業員です。創業社長に後継者がいなかったため、再生ファンドに売却されました。

当社は小売店で現場型の商売なのに、ファンドから来た経営者や役員は本社にいるばかりで店舗に出ることはなく、机上の指示だけをして、時間のほとんどは都心の高層ビルのファンドのオフィスにいました。社員の士気は下がり、ファンド入りして3期連続赤字となり、再度別の会社に売却されてしまいました。

また同じことが繰り返されるのを防ぐ手段はないでしょうか?

 

A11 こうしたケースは、実は増加しています。

自称再生会社、再生ファンドが増加していることも要因の1つといえます。旧産業再生機構在籍経験などを標榜しているケースもありますが、旧機構案件で常用された金融債務の強制圧縮という宝刀が使えないうえ、そもそも旧機構には商売のノウハウは蓄積されていなかったこともあり、OBによる再生案件の成功確率は想像するほど高くはないのが実情でしょう。

転売されるたびに、現場は疲弊し、従業員のモラルは低下していきます。3回目、4回目ということも珍しくありません。現場の従業員の方々にとってみれば、「またか」という失望、落胆の気持ちが毎回増幅されていく傾向にあります。

これを当所では、「ラグビー型のボールパス」と形容しています。

特徴は、

①持ち主が次々に変わっていく

②1人(1社)が保持している時間(期間)が短い

③パスされるたびにボール(モラル)が後ろへ下がる

という共通点です。

打開策としてあくまで一般論ですが、従業員による自社買収、エンプロイイー・バイアウトもあります。

しかし、それにはスポンサーをみつけてくる必要があります。現状のような連続赤字企業の場合、早期にキャッシュフローを生み出せるように再建できるかどうかが問われます。