Q9 サラリーマンは中小企業を安く買いなさいという本を読んだので、やってみようと思います。

何か注意点はありますか?

 

A9 安易な気持ちでやっても、失敗するでしょう。

中小企業はモノでありません。生身の人間の生活がかかっています。失敗したらやめればいい、では済まされません。

中小企業の従業員はまじめな人が大半で、ほかの会社や業種に移っても無難に仕事がこなせるというタイプは少数派です。多くは、その会社にいてこそ真価を発揮する人たちです。責任重大なそのような立場に、サラリーマンの片手間で経営してみるとか、サラリーマンで出世しそうもないから転身するとか、そのようなデモシカ的な半端な人は向いていません。

そのような安易な発想で着任しても、従業員や顧客には見抜かれてしまいます。

見抜かれたら、言うことを聞いてくれません。お客は買ってくれなくなるでしょう。仕入先も納入してくれなくなるかもしれません。

大企業と違って、会社名のご威光で運営しているのではなく、長年の信用と経営者の人間性で成立しているのです。その精神を引き継ぐことができて、従業員や顧客の厳しい鑑識眼にかなう人物であれば、前職がサラリーマンであっても経営者が務まる可能性はありますが、煽り本がいうほど簡単なことではありません。