Q7 M&A仲介業者から紹介された買い案件に手を挙げたのですが、何も進まないまま一方的に打ち切られました。

業種は当社と完全に一致ではなく、隣接した業種だったので、事業分野を拡張するには離れ過ぎず、ちょうどよいと思いました。また、その社名も業界では知名度があり、顧客基盤もあるので興味を持ちました。

先方に会い、財務資料などもいただいて分析したうえで、その先に進みたいと返答したのですが、その後、動きが止まってしまいました。仲介業者は、先方で検討しているというばかりで、1か月以上待たされたうえ、結局白紙になったとだけ言われました。このようなことはあるのでしょうか?

 

A7 業界でも知名度のある会社が売り案件で出たということですから、多数の買い希望が出たことが考えられます。一般的に言えば、売り手は、買い手を選ぶ権利がありますので、候補の中に入らなければ、その先には進めないことになります。

その売り手が、どこかの会社とM&Aの具体的な交渉に入っていけば、あなたは相手として選ばれなかったということですが、今回のように白紙撤回ということは、褒められませんが、残念ながら散見します。

あまりにも反響がなかったので気が変わったとか、逆に予想以上に自社の価値があるとわかったので、売らずに継続することにした、というような場合もあります。

M&Aには売り手側の事情が千差万別なため、普通では考えられないことも起こることがあります。

そのようなことがないように、売り手と買い手の間に入って進行を調整するのが仲介業者の本来の役割です。

ただし、仲介業者といっても、きちんとした業歴のある専門の会社や実績のある専門家ばかりではなく、近年の中小企業のM&Aブームに乗って動いている業者もあり、これまた千差万別です。

業者名からは大きな事務所のように見えても、実際には個人1名でやっているケースも非常に多いのが実態です。公的資格や官公庁への届け出、許認可などが必ずしも必要ではないので、つかみどころのない野放し状態になっています。

当所にご相談いただいた別の案件でも、売り手側に最初から売却の意思がないというケースもありました。

売り手側の企業オーナーが、自社の市場価値を知りたいとうことで、定期的に(数年に1度の頻度で)仲介業者を呼んでは、興味のある買い手を探させるということを繰り返していたことが、あとから調べてわかったことがありました。